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【体外受精(IVF)を考えている方】知っておきたい体外受精のあれこれ

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体外受精(IVF)は、体外で受精・培養を行う治療方法の一つです。対象となるケースや、具体的な流れなども含めまとめてみました。

体外受精が推奨されるケースは?

不妊に伴う原因については、男女もしくはそれぞれにあるといわれています。
具体的なケースにはどのようなものがあるか、特に体外受精の対象となるのはどのような場合かみていきましょう。

・女性側の障害

卵管因子・・・卵管閉塞、周囲への癒着により、卵巣からの卵子の取り込みに問題がある場合。

難治性不妊因子・・・子宮内膜の障害など原因はある程度特定されているものの、各種治療によっても妊娠に至らない場合。

免疫性因子・・・精子に対して抗体を持っている場合。

年齢因子・・・年齢により、妊娠を急ぐ場合がある場合。高齢になってからの妊娠は出産時のリスクが高まるなどの問題もあります。

・男性側の障害

精子の異常 精子の数が少ない、動きが悪いため受精まで至らない場合。

・原因不明の機能性障害

原因不明因子・・・不妊検査でも異常がなく、タイミング法や人工授精法を試みても妊娠に至らない場合。

原因不明で妊娠に至らない場合、受精や胚の発育自体に問題があるケースなども考えられるため、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)へのステップアップが推奨されます。

体外受精って?

体外受精は、調整・洗浄濃縮した精子を体外に取り出した卵子に人為的にふりかけ、受精を行う方法を指します。これにより、体内で受精を行う場合よりも、確実に卵子と精子を出合せることが可能となります。体外受精後は、数日体外で培養を行い、胚(精子と受精した状態の卵子)を子宮の中に戻し着床を待ちます。
高度生殖医療(ART)と呼ばれる治療方法の一種です。

体外受精の妊娠率は?

一般的に、体外受精の妊娠率は20~50%といわれています。
通常の不妊に悩むカップルのうち、自然妊娠する確率は2~3%、人工授精では5~10%が一般的な値といわれています。それと、比較すると、高い値で妊娠が期待される治療方法であることがわかります。

障害をもった子が生まれるリスクは?

先天性異常を持った子が生まれるリスクは、基本的には自然妊娠と同じ程度です。
2014年発表の厚生労働賞発表のデータでは、全国平均で自然妊娠の場合1.5%、ARTで2.2%と発表されています。
しかし、ここで注意したいのは年齢です。年齢別の先天性異常率を見ると、35~39歳、40~44歳、45~49歳に分けたとき、それぞれ、1.4, 2.5, 15.4%といわれており、年齢が上がるごとにそのリスクも高くなってしまいます。

具体的なスケジュール・治療の流れは?

<周期開始からのホルモン管理>

生理が始まった初日を周期0日目として、2~3日目に採血を行い、詳細なプラン(投薬などの外部からの刺激方法など)を決定していきます。
卵巣の刺激方法は、個人個人の不妊原因や体質、年齢などによって医師の判断で決定されます。プラン後は、低温期、もしく数週間、投薬・注射などを使用して卵胞(卵子が入っている卵巣表面の袋)成長や採血の女性ホルモンの値を確認しながら治療を行っていきます。

通院に数は目安として、低刺激周期で3~4回程度ですが、場合によっては自己注射などにより来院減らすことも可能な場合もありますが、個人差もありますので、詳細は医師への相談をお勧めします。

<採卵>

採卵は排卵日に行います。排卵周期が安定している方の場合、通常の排卵日を参考に大体の採卵日の目安を決定していくことができます。しかし、高刺激周期の場合は排卵を促す注射を行ったタイミングから約1日半後に採卵が実施される、このかぎりではありません。卵子が入っている卵胞中は液体でみたさています。卵巣をエコーで確認しながら膣から針を刺し、卵胞内の液体ごと卵子を体外吸い出す作業によって、卵子を体外に取り出します。
針を刺す際は、局所麻酔で行う場合、全身麻酔で行う場合があります。

患者への負担の少なく、短時間の回復時間で日常生活が可能な局所麻酔で施術を行う病院も多く見られますが、どうしても痛みに弱い方や、採卵に対する恐怖がどうしてもぬぐえないといった場合は全身麻酔を行っている医院を探してみるのも良いかもしれません。

<受精・培養>

体外に取り出された卵は、専門の技師によって速やかに培養器の中に移され、一定時間後受精の処置が施されます。男性側は、採卵と同日に新鮮精液の提出を求められます。どうしても、予定のつかない場合(男性が海外赴任予定があるなど)、あらかじめ凍結しておいた精子(凍結精子)を使用することもできるため、不安がある場合は病院に相談してみましょう。

体外受精の場合は、卵子の入った培養液中に、運動良好な精子をpick upし、適当な濃度に培養液で調整を行い振り掛けます。その後、子宮と同じ環境を作り出す培養器の中で3日から5日程度、培養を行います。体外受精のメリットとしては、自然受精が可能。費用が顕微授精と比較し、安価である点が挙げられます。デメリットとしては、多精子受精の発生率が5~8%あること、受精障害の場合受精率の低下が挙げられます。

<胚移植>

胚移植は、順調に育った胚を子宮のなかに戻す治療段階のことを指します。
その間に、異常受精のみられた胚や成長が止まってしまう胚が一定の確率で出てきてしまいますが、より順調に育っている胚を見極めることができる為、人工授精などよりも高い確率で妊娠につながることとなります。

<高温期の管理>

排卵後は高温期といわれます。体外受精の場合、体外からの黄体ホルモン(子宮の内膜を厚く保ち、高温期を安定させるホルモン)の補充を行うのが一般的です。薬剤は、経口薬、貼り薬、膣坐薬、注射など様々な種類があります。

<妊娠判定>

採卵から14日後あたりに、採血で妊娠判定を行います。一定値以上のホルモンの上昇で妊娠の可能性ありとなった場合、黄体ホルモンの外部からの補充を行うのが一般的です。その後、エコーで胎嚢(胎児の入った袋)、胎児の心拍が確認できて妊娠成立となります。産婦人科への紹介状が書いてもらえますので、希望の医院があれば医師へ伝えます。

体外受精(IVF)で出生数は?

2014年厚生労働省発表のデータ全国平均では、移植あたりの多胎率(双子以上になる確率)は自然妊娠で1.2%、ARTによる妊娠で3.0%とやや自然妊娠よりARTによる妊娠で多胎率が高いようですが、基本的にはART治療による妊娠であっても1回の胚移植で出生数が1人になる割合が高いです。

日本では日本産婦人科学会によって原則的に、移植を行う場合戻す胚は1個のみと規定されているため、それにそった治療を行う病院が多いためと考えられます。

体外受精は胚移植の方法で確率が違う?

先ほど、体外受精の妊娠率は20~50%と記載しましたが、この中には、様々な移植方法を合算した値です。実際には、胚移植の方法で確率は異なります。それぞれどういったものがあるか、次に並べてみます。また、ここで使用しているD●という表記は、採卵日をD0(0日目)として表記しています。また、この妊娠率は顕微授精でも同程度であるとされています。

初期胚移植

D2~D4までの胚の新鮮胚移植を指します。
受精に問題がなく、分割の進みに遅延がない、グレードの良い胚を選びとり、採卵の周期で体内に移植する方法です。
グレードの良い胚とは、細胞の大きさが均一で、フラグメントと呼ばれる部分が少ないものを指します。良好なものから1~5までの5段階で表される場合が多いです。

初期胚移植の妊娠率は、一般に20%~25%といわれています。
メリットとしては、体外の環境は体内と比較すると胚にとってストレス(高酸素、光、温度変化など)がある環境下である事にはかわりないので、そういったストレスを減らすことができる。移植回数を増やすことでチャンス事態を増やすことができる。

デメリットとしては、順調に育っているように見えても、分割胚の段階で成長が止まってしまう胚もある。見極めてから移植する胚盤胞移植に対して、妊娠率は低くなることがあげられます。

胚盤胞移植

D5で胚盤胞に育った胚の新鮮胚移植を指します。
胚盤胞は、着床する直前の段階の胚の状態を指します。胚が胎盤になる部分を栄養外胚葉、赤ちゃんになる部分を内部細胞塊とわかれる時期です。それぞれの細胞数が多いか、密な状態にあるか、フラグメントは多いかどうかでそれぞれを3段階の評価するため、全部で9段階での評価が可能となります。

胚盤胞移植の妊娠率は、一般に25~30%といわれています。
メリットとしては、初期胚盤胞より、より細かくグレードを付けたものを選びとり移植することができるので胚盤胞移植よりも高い妊娠率が期待できます。デメリットとしては、胚盤胞まで至らない胚、育ったとしても内部細胞塊がほとんど見られない胚であったりした場合、胚移植自体がキャンセルになるというリスクも高まります。

凍結胚移植(FET)

良好な胚を、液体窒素を用いて凍結保存を行うことで半永久的に保存可能とする治療方法です。
通常の凍結方法とは異なり、凍結により胚の質が低下することはありません。胚の質は、移植時の年齢よりも、採卵の際の母体の年齢に左右されることが多いので、胚を凍結しておくことで、第二子、第三子目の治療に役立てるという方も多くいます。胚盤胞で凍結を行った場合、凍結胚移植の妊娠率は40~50%と一般にいわれています。

新鮮胚移植と比較し、凍結胚移植の方が高い理由としては、採卵周期には一度に複数の卵子を成長させるためホルモン剤を使用しますが、その影響で充分に内膜が厚くならない場合があったり、子宮と胚の発育のタイミングがずれてしまうことがあります。凍結胚移植では、一度周期をリセットし内膜の状態を整えてから移植をすることができるため、妊娠率が高くなります。

デメリットとしては、凍結胚の生存率が一般に90%程度であるという点にあります。つまり、約10%の確率で凍結したものを融解した場合胚が凍結融解に耐え切れず変性(死滅した状態)になるという点にあります。

体外受精(IVF)を受けるには?

既にかかりつけの産婦人科があり、タイミング法などの指導を受けている場合は、紹介状を書いてもらい、専門のクリニックに移動するとスムーズです。クリニックによっては、初診の受付を受け付けている場合もありますが、初診でかかるまでに数か月時間がかかったり、紹介状でしか対応していない場合もあるので注意しましょう。

また、病院を選ぶ際は、クリニックのホームページや、説明会などでそのクリニックの成績や口コミなどの評判を参考にするのも良いでしょう。
また、病院の治療方針が自分とは合っていないと感じた場合、専門のクリニックから他の専門のクリニックに紹介状を書いてもらうことも可能です。無理なく、自分に合ったクリニックを見つけていきましょう。

費用は?

費用は、自費診療のため体外受精の場合、採卵から移植までで30~50万円程度と非常に高額です。そこで、自治体の補助金が出る地域もあるので積極的に利用することをお勧めします。例えば、世田谷区に在住の場合、世田谷区と東京都両方から補助が出るため、合算した額を治療費に当てることができます。

補助金を受ける場合の注意点としては、夫婦の所得の合算に上限がある、移植を行っていないと補助が受けられない、郵送でしか書類を受け取ってもらえない、期限が地域によって違うなど様々ありますので注意しましょう。病院で詳しい相談に乗ってもらえる場合もありますが、詳しくはお住まいの地方自治体に問い合わせることをお勧めします。

終わりに

体外受精を含め、不妊治療を行うには、多くの費用と時間を費やさなければならず、精神的に参ってしまう方も多くいます。例えば、夫婦の合意がしっかりとできていないままに治療に臨んでしまい、夫婦仲に亀裂が入ってしまったり……そういったことを防ぐためにも、夫婦でしっかり話し合って、治療方法を理解した上で治療を進める。病院にカウンセラーの先生がいる場合はその方を頼ってみることもおすすめです。

内容に抵抗があるからと、自分一人で悩みを抱え込んでしまう方も多くいらっしゃいますが、相談できる人を持つことも大変な心の支えになります。

また、体外受精にステップアップしたからと言って人工授精や、タイミング法にステップダウンしてはいけないということはありません。病院を変えてみるというのも一つの手段です。どうしても疲れてしまったときは、いったん歩みを緩やかにしてみるのが、良い結果を生む場合もあります。

個人差のある治療方法ですので、確率でしか妊娠するかどうかをお伝えすることができません。しかし、治療に挑戦されるご夫婦が、よりよい妊活ライフを送り、多くの方が幸せになっていただくことを心から応援しています。

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